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Day 13. 樹洞(家庭内暴力描写注意)
小動物は樹洞と呼ばれる樹の虚を隠れ家にすると、テレビで見たことがある。
自分で作った巣ではなく、そこにある物を利用するのだという。
なら、この押し入れは私にとっての樹洞なのだ。
そこに隠れられるスペースがあったという、それだけの場所にして、命綱。
ふすまの向こうから聞こえる怒声から耳をふさぎ、投げつけられている何かから身を守るために隅にうずくまり、どうか嵐が収まりますようにと身を縮める。
この薄いふすまだけが、私のことを守ってくれる。
突然、大きな音とともに何かがふすまを突き抜けて飛び込んできた。血の気が引く。
あぁ、樹洞を失った小動物は一体どうやって身を守るのだろう。私は、一体。
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