Day 14. うつろい(コミカル系)

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Day 14. うつろい(コミカル系)

「女心と秋の空って言うじゃない?私あれ、納得いかないのよ」 ハンバーグに舌鼓を打ちながら、友人が言った。 「ふむ、その心は?」 私は、ステーキにナイフをいれながら訪ねる。今日は二人して肉の日である。 「昨日読んでた小説で、ころころ恋人を変える悪女を指すのに出てきたんだけど……。女性だからってみんながみんな、好きな人をころころ変えるわけじゃないじゃない?」 「そりゃあそうだ」 「むしろ、二股三股かけるのは、男の方が多い」 それはうつろいやすさとは、ちょっと違うのでは。 そう思いつつも、彼女の興を削ぐほどでもなし、もぐもぐしたまま続きを促す。 「なのに、変わりやすいものの代表格が、女心って。そんなの一部の人だけでしょう?!一途に生きてる私たちに失礼だ!」 一息に言い切った友人は、ハンバーグにざくっとフォークを突き刺して豪快にむさぼった。 「それは、確かに」 友人含めて、私の周りにそんな悪女めいた女性はいない。納得とともに、ステーキを飲み込む。 「だからね、女心に変わる、うつろいやすい物の代表を決めたい訳よ」 「ほほう」 「それで、SNSでバズらせて定着させてみせる」 ずいぶんと壮大な野望だ。 「何かないかなぁ」 うーむ。付け合わせのスープを飲みながら、私は思案する。 「あ、スイーツ欲はどう?シュークリーム買おうと思ってお店に行ったのに、美味しそうなケーキを見てそっち買っちゃうとか、あるあるじゃない?」 「あるあるだ……!」 どうやら合格したらしい。私も満足げに最後の一切れを頬張る。 「あ、でも」 友人がハッとした顔をした。 「今日の私たちも、最初は魚を食べに行こうって言ってたのに、この店の看板を見た瞬間に肉の口になったよね」 「……なったね」 「と言うことは、スイーツ欲ではなく……」 「食欲、かな……」 私たちは、すっかり平らげた肉料理を思い浮かべながら呟いた。 「食欲の秋……」 「意味変わってる」
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