0人が本棚に入れています
本棚に追加
まず第一印象は、不思議な子だな、と思った。
周りの女子達に愛想笑いを浮かべることもなく、自分1人の世界に閉じこもっているような、でもそれでいて誰よりも自由なような、不思議な子。
初めて話したのは、高一の夏、委員会がたまたま一緒だったということもあり本のラベル張りをしていたら、
「手伝おうか」
と、いつもの仏のような静かな表情で、私の仕事をさり気なく手伝ってくれた。
同じクラスだったけど、話す機会はほとんどなくて、恐らくこれが初めての会話だったと思う。会話と言っていいのか、その後は何も話さず黙々と作業をこなしていった。
一通り貼り終わったので、「あ、ありがとう」と聞こえるように大きな声で言うと、「うん」と小さく笑った、ように見えた。
一見クールだけど実は優しいんだよ、と友達に話すと「クールと無愛想はちがくない?」と笑われた。そんな悪気は無かったのだろう、話はすぐに明日のドラマの話題へと切り替わった。
次に話したのは、体育の時間、一緒に見学した時だった。彼女は何故かいつも体育を見学していた。理由を聞いたらはにかみ笑いで誤魔化しただけだったので、問いただすことはなかった。
アニメが好きだと言う事が分かった。皆が知っているようなメジャーなアニメじゃなくて、名前を聞いてもぱっとしたいようなマイナーなアニメが好きらしい。
甘い物が好きだということが分かった。意外にも辛いものや苦いものは苦手で、家に帰るとよくパンケーキを作ってたべるらしい。
話すと意外と口数は多くて、私が冗談を言うとふっ、と笑ってくれた。そんな顔を見るのが好きだった。
それからはよく、2人でいることが多くなった。2年に上がる頃には、休み時間はほぼ一緒にいるぐらい仲良くなった。
でも、私以外の子には相変わらず無愛想なままだった。でも話しかけると、そっぽ向くなんてことはなくて、ハキハキと自然に話していた。クラスメイトが面白いことを言って皆がゲラゲラ笑っている中、君も少し頬をゆるめていた。
最初のコメントを投稿しよう!