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2.〔ななもり。〕ワルグチ
その子は、無表情でスマホをいじっていた。
その情景からだと、そこら辺の女子高生と変わらないのだが、顔色が悪く、スマホをいじる指が震えていた。
心配になって、思わず彼女に声をかけた。
「大丈夫ですか…?」
その子はピタリとスマホをいじる手を止めて、こちらへ視線を向ける。
「顔色悪いし、指が震えてるよ。店員さん呼びましょうか?」
その子はビクリと肩を震わせ、慌てて席から立ち上がった。
その時に、スマホの画面がチラリと見えた。
ーすとぷり、いなくなればいいのに。消えて。ー
Twitterの書き込み画面に綴られたその文字。
俺たちへの、アンチ。
「大丈夫です!心配かけてすみません。特に何の問題も無いんで!」
そういうと、その子は走ってカフェから去っていった。
あの子は、俺らのことが嫌いなのか…
最近は沢山の人に知ってもらって、メディアに出る機会も多くなったけど、知ってくれている100人のうちの100人全員が俺らのこと好きと言うわけは絶対に無い。
世の中に知られるということは、その分批判や悪口も増える。
どうしようもないことだ。
それでも目の前で突きつけられたものはとても大きくて、どうしようもないでは済まされない何かを強く、放っている気がした。
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