神様のぼうえんきょう

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 ププくんが「あっ」と言いました。  大きな雨のつぶが、人間の頭に当たったのです。雨は、ざあざあふってきて、そこにいるひとたちは、たちまちびしょぬれになってしまいました。 「おとうさん、お願い。あそこの雨を止めて。ぬれちゃってかわいそうだよ」  ププくんが言うと、おとうさんは、ゆっくりと首を横にふります。 「だめだよ」  別の望遠鏡をのぞいている、ポポちゃんが言います。 「パパ。こっちに泣いているひとがいるの。なにかしてあげられない?」  おとうさんは、また首を横にふります。 「できないよ」 「どうして?」  ポポちゃんが望遠鏡から目をはなして、コテンと首をかしげます。おとうさんは、ポポちゃんの頭をなでながら言いました。 「そのひとを助けたら、他のひとが悲しい気持ちになるかもしれないからだよ」
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