第2章 私の場合

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 季節はまた一つ巡り、夏になった。  惰性惰性で続けている学校は、ギリギリ単位を落とさない程度に進んでいる。  しかし、その頃から、いや少しだけ前から、彼の色が少しずつ変化し始めていた。  純粋な興奮の色から、薄い薄い桃色——『幸福』の色へと。  そこでも一つ、分かったこと。  彼が最近聴いている曲は、今まで聴いたものの中から、ランダムに再生されているということだ。  それでも、飽きや退屈の色にならないのは——  彼のことを、もっと知りたくなった。
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