第2章 私の場合

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「明日——明日、必ず決断します。今日、本気で一度考えてみます。それでもし、私が勇気を持てなかったら……」 「ええ。私は、貴女の意見を尊重します」 「……ありがとう、ございます」  深く深く。  これ以上ないくらいに深く頭を下げて、私は部屋を後にした。  すると、まるで「待ってたよ」とでも言わんばかりに、友人が声を掛けて来た。  いつものように、けれども少し薄い、『緊張』の色を纏いながら。 「今日、帰り一緒しない? 駅前に、新しいクレープ屋が出来たって友達が——」 「ごめん…!」  はっきりと断ると、友人は瞬間、少し寂し気な表情を浮かべた。  今までなら、それを見送って終わっていたところだ。  しかし、今日だけは。 「ちょっと、やらなきゃいけないことが出来ちゃった。だから、ごめん」  ちゃんと言葉にすると、友人の色が変わった。  複雑でぐちゃぐちゃとした『緊張』の色から、薄く淡い水色は『安心』の色に。  ああ、そうか。  君はずっと—— 「分かった。頑張ってね」 「うん。また、明日」  舞踏会以来、一度も言っていなかった言葉。
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