第1章 僕の場合
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僕が指定した画面をタップすると、すぐに演奏が始まった。 慌てて逸らした視線は、宛てなく天井や運転手、足元に向かった後、彼女のなぞった隙間から覗く窓の外へと落ち着いた。 今、彼女の耳元では、僕の演奏した『喜びの島』が流れている。 思いがけず深く零れた溜息は、唯一の逃げ場であるその隙間を白く埋めてしまった。
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