神様お願い、あの子を守らせて

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 ここは、天使の養成所。 新人天使が、立派な天使になるために、毎日修行をしています。  モクモク雲の上に、テーブルが置いてあり、先輩天使の七つ道具の手入れをします。  心を込めて、丁寧に。 いつか、立派な天使になった時、これらが支給される事を夢見ながら。 「おい、カールは、またサボってるのか! って、双眼鏡見ながら頭傾げてどうしたの?」  ミルクが先輩天使の真似をしながら、カールの元へやって来た。  ミルクこそ仕事に飽きたようですが……  カールが少し深刻そうな顔をしている。 「うん、なんか、まあちゃんがさ」 「え! まあちゃん、どうしたの?」 「今、ため息ついてるんだよ」 「ウソ、どれどれ!?」  ミルクがカールから双眼鏡を奪い取って覗くと、まあちゃんと出会った公園のベンチに座る真麻が見えた。  時折、空を見上げてため息をついている。 「本当だ。どうしたんだろう……」 「ちょっと心配なんだ」 子供の天使に心配される人間、真麻とは……!?  ミルクが首を傾げてニコリと笑う。頭上の輪っかがゆらゆら揺れる。 「私達、まあちゃんを助けに行っちゃう?」 「え? だって、今仕事中だし……」  修行中であることを思い出したカール。我に返るとミルクの手から双眼鏡を取り戻し丁寧に磨き始めた。
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