天使が落としてあの子を救う♪

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 ここは、天使の養成所。 新人天使が、立派な天使になるために、毎日修行をしています。  モクモク雲の上に、テーブルが置いてあり、先輩天使の七つ道具の手入れをします。 心を込めて、丁寧に。 いつか、立派な天使になった時、これらが支給される事を夢見ながら。  カールは、ひとつ手に取り、一生懸命磨いていた。そして…… 「これは、地上を見渡せるんだよね」  つい誘惑に負け、それを使って下界を見下ろしていた。 「うわぁ、良く見えるー!!」  海、山、住宅街。犬、猫、鳥。人間の姿までハッキリと見えた。夢中になっていたので、背後から近寄ってくる気配に気づかない。    そーっと近寄ってきたミルクが、急に大きな声を出した。 「わっ‼︎」 「わぁっっ‼︎」  カールの手に持っていたものが、意思を持つようにクルンと動いた。    ……ツルリンッ…… 「あっっ!」 「びっくりした?」 「ビックリしたって言うか ……落としちゃった」 「えっ? 何を…… まさか!?」 「うん、そう、下に」  二人の天使が、顔を見合わせ青くなる。 「ヤバイっっ! 神様に叱られる前に取りに行こう!」 「うん、ごめん」 「こちらこそ、ごめーん」  二人は、モクモクした雲の上から下を見下ろし、フワッと地上へ向けて飛び立った。  神様は、見守ってるんですけどね?
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