悩める乙女

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悩める乙女

「はぁ、どうしたらいいの……」  浜辺真麻(はまべまあさ)22歳は公園のベンチに座り、ため息をついた。今にも泣き出しそうな、困った顔をしている。  仕事で大きなミスをして、上司に多大なる迷惑をかけてしまった。  風邪をおして仕事をしていた真麻。市販薬を飲み眠気と戦いながら仕事をした。ところがそれが判断を狂わせ、いつもならしないミスを招いたのだ。取引先から指摘され、先輩が対応してくれたお陰で、事なきを得たが上司と先輩からきつく叱られてしまった。  体調不良を理由に翌日から休んだのだが、今度は行きづらくなってしまった。二日ほどで体調は戻ったが、またミスするかもとか、上司に怒られるのが怖いとか、周りに迷惑かけるとか考えると、心臓がドキドキして落ち着かなくなり、手や背中に汗をかき足が震えた。     今朝、母親から出勤するよう叱られ家を出たが、駅の手前で急に足が竦み片足が思うように動かなくなった。足が前に出ず、ラッシュアワーの邪魔になってしまった。  真麻は、足を引きずりながら横道に逸れ、今は公園のベンチに腰をおろしていた。   「足、動いてよ……」  自分の足をさする。筋肉が固くガチガチになっている。必死にさすっていると、情けなくて涙がこぼれそうになり、真麻は慌てて上を向いて目を閉じた。
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