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今朝まで、不安でいっぱいだった真麻は、安心感に包まれ再び涙が溢れてきた。
そこへ、ふわりと、天使達が降りてきた。
「まあちゃん、どうしたの?」
「何で泣いてるの?」
「うん、だって……」
真麻は嬉しくて泣いていたのだ。嫌われた訳ではなかった。同時に自分の弱い心に負けていたことに気づいた。勇気が出せなくなっていた自分が情けなくなってもいた。
カールが真麻のメガネを指差した。
「このメガネはね、元々は双眼鏡なんだよ。先輩天使達が雲の上から、地上を見渡し、泣いてる人、困ってる人を見つけるための物なんだ」
「私たちは姿を見せる事はできないんだけど、いつも一緒にいて見守っているの」
真麻は驚いて、天使を見つめた。
「もしかして、私の事も見守ってくれていたの?」
「うん……それは」
天使が困った顔をしている。
「僕たちにも、その辺はどうなってるのかわからない。でもね、新人の僕たちの仕事は、双眼鏡を磨く事なんだ」
「双眼鏡を磨く……!?」
「うん、一つ一つ丁寧に磨いきなさいって」
「神様が、どんな人間の悲しみも見落とさないようにって」
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