天使との別れ

1/2
前へ
/18ページ
次へ

天使との別れ

「カール君とミルクさん、二人とも素敵なお仕事をしているのね」  真麻がニッコリ笑った。そして、 「私も、社会人一年生、始まったばかりなのよね。 うん、頑張る!!」  真麻がガッツポーズをした。 二人の天使は、真麻が元気になったのを見てとても嬉しくなった。 「私も立派な天使になるよ!」 「僕も頑張るー!!」  三人が決意を新たにした時、真麻の顔からメガネが外れポトリと落ちた。 不思議な事に、落ちたメガネは、双眼鏡の形に戻っていた。メガネが外れた真麻に天使の姿は見えなかった。 「カール君、ミルクさん、いるよね? 本当に見えないわ」  真麻が双眼鏡を拾うと、光の中に二人がいるのが見えた。 「これ、ありがとう」 「うん、こちらこそ、ありがとう」 「それじゃ、帰るね」 「「まあちゃん、元気でね」」  真麻が双眼鏡を手渡すと再び姿が見えなくなったが、双眼鏡がお別れとばかりにキラキラと光ったので、二人が空へ登っていくのが真麻にもわかった。   「バイバーイ!  ありがとうー!!」  真麻は、大きく両手を振った。  光が消えると、視線を地上へ戻した真麻。数人の人が真麻を不思議そうに見ている。 「しまった!!」  真麻は、何でもないわよと、何気ない人を装い歩き始めた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加