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「君達、昨日はよくやってくれた。ヒーローが来てくれたおかげで怪獣を退治することができた。私も市民が安心して暮らせるようになり、うれしく思っている。私が言うことは以上だ。解散」
軍服を着た男は、連れてきた2人の手下と共に、部屋を出ていった。
「やれやれ。参謀の前では緊張するなあ」
「怪獣を倒したのはおれらじゃなくヒーローなんだけど、その辺は何も言わないんだなあ」
「上層部は結果で判断するからなあ」
作戦室には、隊長を始めとした数人の隊員達がいる。
「まあみんな、昨日の任務で疲れているだろうけど、またすぐ指令が来るかもしれないからしっかりと待機しておきたまえ」
「そうですね、隊長。まあいざとなったらまたヒーローが来てくれるだろうし」
「そうだな」
突然、1人の人物がどなり出した。
「てめえら、くやしくないんかい」
別の隊員が答えた。
「副隊長。そりゃ、自分はくやしいです。怪獣を倒したのはヒーローの力によるもので、我々地球防衛隊は敵に対して何の手ごたえも与えられなかったわけで」
「実際、世間では地球防衛隊は不必要だと言われている始末ですし」
「それなら、自分達でできることをやっていくべきではないかね」
副隊長の提案に、隊員達はそれぞれ反応する。
「わかりました。それじゃあおれは射撃訓練に」
「ぼくは新兵器の開発に」
「自分はパトロールに行ってきます」
「ところで、ヒーローの調査はどこまで進んでいるかね」
隊長が立ち上がって質問してきた。
「はい、今のところ」
隊員の1人が端末を操作する。モニターに画像がいくつか映し出された。
「見ての通り、これらはヒーローが出現した時の様子を撮影した物です」
「おお、みんな夕方頃だな。いかにも夕日に映えるヒーローというか、夕焼けの光の中に立つヒーローというか」
「だから世間では夕焼けヒーローって呼ばれてるんですね」
「というか、もっと気の利いた名前はないんかいな」
「ヒーローの名前って誰が決めるんだろう」
「まあいずれにしろ、ヒーローに対する調査は今後も続けていく。やつが何者か、本当に我々の味方かどうか、色々と謎が多い。しっかりと解明していってこれからの事に役立てていきたいと思っている」
隊長が説明した。
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