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「日の出まであと1時間か。それまで何事も起こらなければいいんだけど」
隊員の1人がそう思うやいなや、怪獣が再び動き出した。
それでも、怪獣は体をロープで縛られていて動けなかった。ロープの端は地面に突きつけられている。
「おとなしくしていてくれよ」
怪獣は何とかして力尽くで抜けようとした。
「できるだけ強く縛ってるから大丈夫のはずだけど」
しかし、しばらくして、怪獣はとうとうロープを破って脱出した。そしてヒーローに近づいてくる。
それを見て、隊長は命じた。
「攻撃開始。あと20分だ。何とか持ちこたえろ」
辺りにいる隊員達は、バズーカ砲や手にした銃を使って攻撃していった。戦闘機からも攻撃してきた。怪獣はこれらの攻撃に耐えながら近づこうとしていった。
そして倒れているヒーローの側まで来た。隊員達は遠ざかり、怪獣と少し距離を置いた状態でいた。
怪獣はヒーローの身体を足蹴にしていった。
「ボディが硬い状態だからいくらかは耐えられるようだけど」
「攻撃を続けろ」
隊長の命令に隊員達は忠実に従っていった。
「あと5分・・・2分・・・1分・・・」
そして東の地平線から光が漏れ出してきた。日の出である。
それとほぼ同じくして、ヒーローの体の色が変化し始めた。
「おお、いよいよだ」
「やはり朝でも活動できるんだ」
そして体の模様が完全に元通りになり、そのあと起き上がった。
「ようし、あとは頼んだぞ」
ヒーローと怪獣の格闘が再び始められた。
「ところで具体的にはいつまで活動できるんだろう」
一緒に出向いていた専門家が推測する。
「あの太陽が完全に地面から顔を出すまでと思われます」
「意外と短いものだな」
ヒーローと怪獣は格闘を続け、やがて怪獣の動きが鈍くなったところで、ヒーローは光線を発射した。怪獣は倒れた。
「やった~」
「戦いすんで朝が来た~」
隊員達は一斉に喜びの声を上げた。
そしてヒーローはそのまま消えていった。
「あれ、いつもと違って空を飛んでいかないな」
「見たところ、時間がギリギリのようだ。飛んでいく余裕がなかったんだろ」
「ていうか、あいつ」
そうつぶやいた隊員の指差した方向から誰かがやって来る。
「お~い」
そう叫びながら手を振って、走ってくる。
「あ、やっぱり新入りだ。あの野郎~」
そして隊長のいるところまでやってきた。それに対し、隊長は強く発言する。
「私と一緒に来い」
新入りの腕を強く引っぱり、隊長は一緒に戦闘機に乗って、飛んでいった。他の隊員達も基地へと帰還していった。
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