夕焼けヒーロー

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夕焼けヒーロー

怪獣が街で暴れている。 とりあえず安全なところまで非難している住民達が、その様子を眺めていた。 「くっそう」 「どうにかならないんか」 そうした時、最新鋭の戦闘機が数機、飛んできた。 「おお、ようやく地球防衛隊のお出ましか。頼んだぞ」 「いや、あやつらは当てにできん」 「え、どういうことだ」 戦闘機はそれぞれ、怪獣に対してミサイルを撃ったりレーザー光線を当てたりして攻撃していった。 しかし、怪獣はびくともしなかった。 「ほれ見ろ、そういうことだ」 「ああ、一体どうすれば」 「あとはあいつに頼るしかないな」 「だけど来てくれるだろうか」 「いや、辺りはかなり薄暗くなってきた。そろそろ来るんじゃないか」 空は赤く染まっていた。その時、どこからともなくその姿を見せた。全体が銀色で、赤や青の模様が入った身体の巨人である。 「おお」 そして、巨人は怪獣のところに走っていき、格闘を始めた。怪獣もそれに応戦した。 「がんばれ~」 「がんばれがんばれ~」 子供達を含む多くの人々が熱狂しつつ巨人のヒーローを応援していた。 ヒーローと怪獣は、殴る蹴るといった格闘を続けていった。最初は互角だったのが、次第に怪獣の方がふらふらとしてきた様子である。 そしてヒーローは、ある種の構えを取り、光線を発射した。それが怪獣に当たり、そして爆発した。 「やった~」 人々は大いに喜び、飛び上がったり手を上げたりして歓喜した。 ヒーローは怪獣が動かないのを確認し、そしてそのまま飛び去っていった。 「ありがとう、夕焼けヒーロー」 「おい、もっと気の利いた呼び方しないんけ」 「いや、みんなこう呼んでるし」 人々は、ヒーローが飛んでいった空に向かって手を振りながら絶賛した。 「ようし、我々は帰還する」 上空を飛んでいた戦闘機の1つに乗っていた隊長が、他の隊員達に命令した。 「了解。そろそろ日没だな」 隊員の1人がつぶやく。 数機の戦闘機は暗くなった空の彼方に去っていった。
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