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「これじゃあ、ダメですよ。」
「えっ!」
「どうして?こんなに素敵な招待状なのに。」
「いや、素敵とか関係ないっしょ。だって、これ、うちの招待状じゃないじゃないですか。」
門番は招待状を二人に突き返しました。
「うちの招待状じゃない?」
招待状を返されたものの、イマイチ問題点を理解できていない様子の魔法使いのおばあさんに、門番は懐から一枚のカードを取り出し、見せました。
「はい、これがうちの舞踏会の招待状。ね?デザインが全然違うでしょ?」
魔法使いのおばあさんは、そのカードを手に取ると隅から隅まで舐めるように見つめました。
「なるへそなるへそ。はいはい。わかりました。」
本物の招待状を門番に返すと、魔法使いのおばあさんは再び大扉から少し離れたところに移動しました。
門番はやれやれと二人を厄介者としてあしらったあと、振り返って笑顔を浮かべ本来の業務に戻りました。
シンデレラは心配そうに魔法使いのおばあさんに駆け寄りました。
「どうするの?魔法使いのおばあさん?」
「こうするのよ。」
魔法使いのおばあさんはシンデレラにウインクすると、魔法のステッキを振りかざしました。
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