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数秒の沈黙。空気が張り詰めました。
そんな空気に耐え切れず、シンデレラは泣き出してしまいました。
「え~ん、バレたよ~。」
シンデレラの泣き声を聞いて魔法使いのおばあさんは慌てました。
「バカッ!バレたって言ったら認めたようなもんじゃないか!」
「やっぱり。」
「いや、違うんですよ!聞いてください、門番さん!この子の不幸な生い立ちを。」
門番の腕を両手で掴み、縋りつく魔法使いのおばあさんを、門番は腕を振って軽く突き放しました。
「そんなね、招待状を偽造するような人、本物の招待状を持って来たって、通せませんから。」
「そんな~、ちょっと待ってくださいよ、門番さ~ん!」
と、その時、
リ~~~ン、ゴ~~~ン、
と、お城の一番高い塔の壁面にある巨大時計の鐘が、稲妻のような大きな音を立て、十二時を告げ始めました。
「あああ!魔法使いのおばあさん!」
鐘の音を聞いたシンデレラは、魔法使いのおばあさんの背中をバババッと叩きました。
「痛たた!なんだい、シンデレラ、私はお前の為に骨を折ってやっているのに!」
「ちがう!鐘!十二時になっちゃう!」
「え!あ!あーっ!魔法が解けちまうじゃないか!」
シンデレラと魔法使いのおばあさんは、大慌てで大扉前の大階段を大駆け下りして行きました。
「急げ!急げ!」
「急げ!急げ!」
二人は大慌てで帰っていきました。
その様子を門番は呆然と見送っていました。
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