21人が本棚に入れています
本棚に追加
二人が見えなくなった後、門番は階段の途中にガラスの靴が片方だけ落ちていることに気づきました。
「なんだったんだ。一体。」
門番が、拾ったガラスの靴を見つめて、シンデレラと魔法使いのおばあさんとのやり取りを思い返していると、大扉がギーッと開いて、中から王子が現れました。
「ヘイヘーイ!どったの?門番ちゃーん。」
大扉から出てきた王子は、リーゼントに櫛を通しながら、膝を曲げ腰を落とし体を斜に構え、門番にビッとポーズを決めました。
王子のロックンロールな感じには普段から見慣れている門番は普通に返答しました。
「いやね、さっき変な女の二人組が招待状なしで舞踏会に入ろうとしてて。」
女と聞いて、王子の目が輝きだしました。
「ヘイヘーイ!HOTじゃねえかぁ。なんだよ、キレイ系ぇ?可愛い系ぇ?」
出た!王子の女好き!門番は呆れました。
「いや、一人はばあさんで、もう一人はちょっと顔を見れてないですね。」
「珍しぃ!おめーが女の顔面チェックしてねぇなんて。」
王子の指摘に門番は少し照れながら答えました。
「いやー、めっちゃ巨乳だったんで、そっちばっか見てたんですよね。」
王子のボルテージは最高潮に達しました。
「ヘイヘーーーイ!HOTじゃねえかぁ!なんで俺を呼ばねえんだよぅ!」
「いや、舞踏会中に門番が王子を大扉に呼びつけるなんて、おかしいでしょ。」
体が熱くなってきたぜ、と王子はリーゼントに櫛を入れ、心を落ち着かせました。
「でぇ?そん子の連絡先ぃ、聞いといたぁ?」
「いや、それが、なんか十二時になったら慌てて帰っちゃって。」
あ、そうだ、と門番は手に持っていたガラスの靴を王子に差し出しました。
最初のコメントを投稿しよう!