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「ビビデ・バビデ・ブー!」
魔法使いのおばあさんは呪文を唱えながらステッキを振りました。
すると、煌びやかな光がシンデレラに降り注ぎ、シンデレラの灰まみれの服が素敵なドレスに、ズタボロの靴は素敵なガラスの靴に変わりました。
「さあ、カボチャの馬車に乗り込んで!シンデレラ!」
ヒヒーンと威勢のいい馬のいななきと共に、シンデレラと魔法使いのおばあさんを乗せたカボチャの馬車は、舞踏会の行われるお城へ向けて飛ぶように走っていきました。
「さあシンデレラ。お城の舞踏会、楽しんでおいて。」
魔法使いのおばあさんは満面の笑顔で馬車の扉を開けました。
「うん・・でも・・。」
シンデレラは浮かない顔をして馬車を出ようとしません。
「どうしたの?シンデレラ。」
シンデレラは改めて自分の来ている素敵なドレスとガラスの靴に目をやりました。
「素敵なドレスに、素敵なガラスの靴。でも私自身は、こんなに素敵じゃないもの。」
シンデレラは伏し目がちに呟きました。
「何を言っているの、シンデレラ。こんなドレスやガラスの靴なんかより、あなたはもっと素敵なのよ。自信をもって。」
魔法使いのお婆さんは、シンデレラの目をまっすぐに見つめて言いました。
「ありがとう、魔法使いのおばあさん。」
笑顔になったシンデレラは、元気に馬車を飛び出ました。
「私、楽しんで来るね!」
元気に手を振るシンデレラに魔法使いのおばあさんも応えるように手を振りました。
そして大きな声で、あらためてシンデレラに忠告しました。
「十二時の鐘に気を付けて!魔法が解けるからね!」
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