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鼻歌を歌いながら家に帰ったNさんを見て、妹さんが怪訝そうな顔をしました。
「なにか、いいことでもあったの?」
「うん、ちょっとね」
「ふうん。あれ、そのクマのキーホルダー、見つかったんだ」
言いながら妹さんは、Nさんの鞄にジャラジャラとぶら下がっているキーホルダーの中から、今朝、男の子が拾ってくれたキーホルダーを手に取りました。このキャラクターは妹さんも大好きで、Nさんがゲームセンターで獲ってきたとき、とても羨ましがっていた物でした。
「え?見つかったって?」
「だって、三日前くらいから付いてなかったから。てっきり、なくしちゃったのかと思ってたんだけど」
「そんなわけ、ないよ……」
拾ってくれた男の子は、確かに今拾ったという感じで声をかけてくれたのです。つまり、今朝までキーホルダーは鞄に付いていたはずです。
「お姉ちゃん、そんなにたくさん付けてるんだもん。一つくらいなくなっても、気がつかないでしょ?」
言われてみると、Nさんは別に毎日キーホルダーの数を確認しているわけではありませんから、何か一つ減っていても気がつかないかもしれません。
ですが、妹さんの言葉通りだとすれば、男の子の言動に説明がつきません。
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