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状況が理解できないNさんは、小さく震え始めてしまいました。それを見た妹さんが、これはただ事ではないと思ったのでしょう。手にしていた例のキーホルダーを注意深く点検し始めました。可愛らしいぬいぐるみが妹さんの手によって、ぐにゃぐにゃと歪むのをNさんは呆然と眺めていました。すると、
「ここ、何か入ってる!」
妹さんが示したのは、ぬいぐるみの左の脇の部分です。もともと縫製の跡はあったのですが、目立たないその部分には、他とは違う縫い跡がありました。
妹さんから促されるままに、その部分を指で押すと、何か硬い感触が指に伝わってきました。
「ど、どういうこと……?」
「ねえ。これ、誰かから貰った!?」
ものすごい剣幕で妹さんから問われたその瞬間、Nさんの携帯電話が鳴りました。
電話の主は、あの男の子。
「は、はい……」
震える声で応答すると、
「もうばれちゃったか。でもいいや。家の場所も分かったし。今度、遊びに行くね」
男の子の声はとても爽やかで明るく、それが逆に恐ろしかったと、Nさんは語ってくれました。
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