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第一章 消えた幸せな世界
僕の世界には、父さんがいて、母さんがいて、弟がいて、僕は、何も考えなくても、家族がそこにいる、いつまでも変わることなく。
ただ、そう思っていた。
高校受験に合格したお祝いに、家族で食事に出かけた。
家族でお祝いをしてもらうはずだった。
明日は卒業式、その後は、高校の制服を作ったものを取りに行き、四月からは、新しい学校生活を迎える、ただそれだけの未来だった。
でも・・・
ガシャン!
一瞬だった、ものすごい音ともに目の前が真っ白になった。
今までの笑い声が・・・
みんなの声が・・・
音が・・・
―――消えた。
何?
次の瞬間俺の目の前は白から真っ暗になった。
早く、救急車!
モワンとした音の中いろんな音が聞こえる・・・
…聞こえ出した。
担架!早く!
ここはどこだろう?
あれ?それより俺、何してたんだ?
おい、こっちは生きてるぞ!
「おい、おい、生きてるか?」
…誰?
「おーい、救急隊員、こっちだ、早く!」
「ここにもいるぞ、小さい子だ!早く、手を貸してくれ!」
何が起きたんだろう・・・
「こっちは・・・だめだ」
何がダメなの?
「女性は?」
「即死だ」
即死?
「母さん・・・」
「おい、わかるか?見えるか?」
眼鏡をかけた男性、その後ろ…空?星?黒い天井に小さなかけらが散らばっている。
男性の顔がその色をふさいだ。うなずいた。
意識はある、早く運んでくれ!
「・・・父さんは?弟は?」
「弟さんはもう病院に行ったよ」
「…そう…アリガ」
「おい!おい!しっかりしろ!」
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