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1.「YOKOHAMA」
彼と初めて話したのは大学2回生の夏だった。
元々人付き合いが上手な方ではなかったが、一年も大学生活を送れば自ずと知り合いは多くなる。サークルにも入らず、学科の人数も多くはないが別段心配はしていなかった。
その日は一年に一度行われる学園祭の前日で、夏休みにも関わらずキャンパスは学生で溢れていた。それぞれが所属する学科やサークル、部活動がキャンパス内に露店を特設で出すのだ。もともとキャンパスは無駄に広いから土地に困ることはないけれど、とにかく人が多い。人いきれは猛暑に追い打ちをかけてくる。
特に今年は長かった梅雨の影響で準備期間が短く、それぞれに忙しそうにしている。各々に準備してきた所属団体のTシャツを着て、仮設テントのパイプを担いだり大きな機材を運び込んだりしている。男女関係なく、店頭を装飾したり、遠くに見える第3広場ではダンスサークルが最後の調整に臨んでいる。
額に汗をかきながら、みな楽しそうだ。
見ているこちらも思わず頬が緩んでしまう。セミはうるさいし日差しは容赦なく刺し殺しに来るけれど、それすら青春の1頁のようだ。
右手と左手の人差し指と親指で四角に切り取ってみる。
白い講義棟8号館がぎらぎらと反射して、その下にははためく万国旗、どこからか聞こえてくるアップテンポな音楽と、個性あふれる露店たち。
カラフル過ぎる服装の学生たちがあっちへこっちへ。うん、いい絵だ。
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