番外編1. 春の試飲会

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 それはいわゆるプロジェクト・リーダーという立場なのでは? と思ったけれど、あえて触れないで流すことにした。 「それじゃあ、もし間に合ったらここに来て。試飲会終わっても瑛士が来なかったら、そのまま家に行くよ」  打ち合わせた勢いで、今井さんに声をかける。 「ということで私は確実に来ますので、よろしくです」 「こっちは彩ちゃんが来てくれれば、それでいいですよ」 「俺も遅れても、ちゃんと顔出しますよ」  憮然とした表情で瑛士が言う。その少し拗ねた口調に笑ってしまった。なぐさめる代わりにさり気なく体を寄せて、腕と腕を触れ合わせる。瑛士の方も寄ってきて、より腕の密着度が上がった。  なにも言わないのに、くっついた部分から気持ちが繋がり合っていくみたい。些細なやり取りがこそばゆくて、でも嬉しい。 「はいはい」  そんな私達を、今井さんが笑いをこらえた表情で眺めていた。  ◇◇◇◇
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