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「なんか……、エロ本隠している中学生男子にでもなった気分だ」
「なにそれ?」
ふっと彩乃が吹き出して、緊張感が一気に崩れる。そんな彼女の笑い顔に、愛おしさがこみ上げた。
「ねえ彩乃、キスしていい?」
「へ? あ……」
返事を待たずに覆いかぶさるように抱きしめて、キスをする。唇が合わさると同時に舌を入れ、絡ませた。
「んっ、ん……」
ぴちゃぴちゃと湿った水音が口腔内から響いて聞こえる。互いの舌が絡み合い、摺り合わされる度に彩乃の身体から力が抜ける。
「なんで……、瑛士」
翻弄されて訳が分からなくなっているのに抵抗する意思は一切なく、うるんだ瞳でただ俺を見つめる。そんな彼女をきゅっと抱きしめて、耳元でそっと囁く。
「俺、自分でも愛が重いって自覚があるんだけど」
「ん?」
「引かないで、聞いてくれる?」
「え? なに?」
実家からなにを持ってきたかなんて、するつもりのなかった申告だ。だけど変な誤解が生まれそうになったのなら、言うしかない。自分の重さをさらすことになるけど、もはやそんなことはどうでもよかった。
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