【書籍化お礼】初恋未満の淡い恋情のことなど

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 彩乃が引っ掛かっていた俺の隠し事についてはこれで解明できた。となると、次は俺が引っ掛かっていた彩乃の突っかかりについても解明したい。 「なんで彩乃、そんなに俺のこと疑っていたの? 俺と会っていない間に、なにかあった?」 「う。それは……」  俺の胸元でくぐもった声をだし、言いよどむ彩乃。その顔を覗き込んで、視線だけで先を促す。するとようやく観念したのか、俺を見ないように目を逸らしながら語りだした。 「先週の飲み会で結婚を報告したんだけど、そのとき友達に忠告されたの」 「なんて?」 「どちらか一方の愛が重いと、バランス欠いていつか浮気されちゃうわよって」 「浮気? 誰が? どんな理由で?」  これから結婚しようとする友人になんて忠告するんだ。それはどう考えてもただの脅し。酔った勢いで言ったというなら、ただの絡み酒だろう。 「どちらか一方が相手を好きで押し切って結婚した場合、同じように愛を返してこない相手にそのうち不満を持って、押し切った側が浮気をするケースが多いんだって」 「浮気した側の言い訳だよね」
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