【書籍化お礼】初恋未満の淡い恋情のことなど

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 そんな主張を真に受けて、愛する努力を怠ったと反省を促されたら目も当てられない。というかここで気になるのは、彩乃の認識だ。 「もしかして、彩乃から見て俺の方が一方的に好きだと思っている?」 「瑛士だって今さっき、愛が重いって自己申告していたじゃない」 「そうだけど」  苦笑しながら彩乃を見つめる。一方的に彩乃のことを好きな俺はいつか必ずその状態が嫌になり、そのうち浮気をするようになる。そんな脅しをかけられたのか。 「あのさ、確かに俺の愛は重いけど、彩乃だってじゅうぶん同じくらい、俺のこと愛しているだろ?」 「ええっ」  なぜバレたんだ? と言わんばかりに大きく目を見開いて、彩乃が叫び声をあげる。この期に及んでなぜそんな反応をするのか、俺の方が不思議だ。ふうと小さく息を吐くと、俺は彼女と視線を合わせたまま手を握り指をからめ、爪先にそっとキスをした。 「俺が分からないとでも?」
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