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確認するように自分を指差し、今井さんを見る。酒屋の店主が何を言う? と突っ込みを入れたかったけれど、満面の笑みでうんと返されてしまった。これでは、なにも言えない。
「それにあの、女性でお酒を愉しむ方に興味がありまして。そこはちょっと、取材っぽくなってしまうかもですが」
「取材」
焦ったように、それでも誠実に一生懸命話してくれる姿が可愛くて、この眼の前の女性に興味が沸いた。如才ない対応の鳴瀬さんは明らかに会社員だけれど、この人はそうではなくて、もっとなんか、クリエーターっぽい。
そんな探るような目で見てしまったせいか、はっと気づいたように彼女が自己紹介をはじめてくれた。
「私、漫画を描いている白石琴香といいます。この鳴瀬さんは私の元編集担当者さんで、今日はここに連れてきてもらいました」
「そうなんですね。遠藤彩乃です。ただの酒好きで食いしん坊の会社員です」
ごく普通の会社員には、漫画家さんだの編集者さんだのという職業は華やかすぎて眩しすぎる。ついつい及び腰な気持ちになって自己紹介をしたら、ぶふっと今井さんに吹き出された。失礼な。
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