番外編1. 春の試飲会

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 私や瑛士と多分同年代の鳴瀬さんと、それより年下の白石さん。でも年下だからといって、子供っぽい訳ではない。逆にフリーランスな仕事をきちんとして、私よりしっかりしている人という印象だ。その真面目で真摯な態度が好感度になって、つい見入ってしまうんだ。 「うん、可愛いなぁ」  彼女に聞こえないようにこっそりつぶやいたのに、くすりと笑う声がした。そちらに目をやると、鳴瀬さんがこちらを見ている。  でしょう?  口に出していないくせに、そんな声が聞こえた気がした。 「鳴瀬さん、べた惚れですね」 「それは、まぁ」  お互いにふふっと笑って和んだところで、自動ドアの開く音がして振り返った。試飲会のため店の外の照明は消してある。この時間に入ってくるとしたら、一人しかいない。 「瑛士、」  と反射的に呼びかけたところで私の動きが止まってしまった。 「ああ大浦さん。お疲れ様です」 「遅れてすみません。もう終わりですか?」 「大丈夫ですよ。でもそろそろ無くなりかけているから、先にお酒もらって下さいね」  今井さんと瑛士が会話しているのを、ただひたすら食い入るように見つめてしまう。
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