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番外編1. 春の試飲会
三月第三週の金曜日、恒例の角打ちデートの日。いつもの酒屋、今井商店の立呑カウンターで瑛士と一緒に飲んでいると、ふと思いついたように店主の今井さんに声を掛けられた。
「そう言えばお二人共、試飲会って興味あります？」
「試飲会？」
聞き返すと、店内に貼られたポスターを指さされた。毛筆で「春酒試飲会」と書かれている。開催日はちょうど一週間後の金曜日。以前から思っていたのだけれど、店内手書きのポスターはいつも毛筆で、味があってなかなか良い。
「定期的にやってますよね」
瑛士が同じくポスターを眺めながら、今井さんに問い掛ける。そういえば今年の初めも、この手のポスターが店内に貼られていた。
「こんな小さな店でも、蔵元さんが営業に来るとね、協力したいなと思いまして」
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