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「わぁ~、すごい。大人の雰囲気……」
通された部屋を見回し、廉は溜息をついた。
広く取られた窓、背の高い観葉植物、大きなソファに、北欧家具調のローテーブル。
洗練された、シックなリビングだった。
「シャワーを浴びないか? 三好、たいがい酒臭いぞ」
「す、すみません!」
バスを借りるのは図々しい気がしたが、臭いと思われるよりましだ。
廉は大急ぎでバスルームへ入った。
広いバスルームでシャワーを浴び始めると、省吾の声が脱衣所から聞こえて来た。
「部屋着を、ここに置いておくから」
「はい! すみません!」
部屋着まで借りるとか!
もうここまで来たら、存分に甘えてしまうしかないな、と廉は腹をくくった。
バスタブが四角ではなく楕円形、という点に驚きながら湯につかる。
ここにも広い窓が設けられており、夜景がとても綺麗に見える。
「すごいよな~。僕のアパート、ユニットバスだもん」
あまり長風呂すると、省吾がバスを使えなくなる。
そこそこで風呂から上がると、省吾が用意してくれた部屋着が待っていた。
着てみると、ぶかぶかだ。
「これは、甲斐さんの部屋着だな」
しかし、袖に鼻を近づけると新しい匂いがする。
新品を、廉のためにおろしてくれたのだ。
省吾の気配りに感動しながら、廉はリビングへ歩いた。
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