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風呂上がりの省吾に、廉は訊ねてみた。
「どうして、僕にこんなに親切にしてくれるんですか?」
いきなり核心を突いた質問に苦笑いした後、省吾は答えた。
「そういうところが可愛いから、かな。素直だ、三好は」
可愛い、と言われて廉は赤くなった。
(甲斐さんは、年上で、上司で。だから、可愛いって言っただけなんだ。有頂天になっちゃ、ダメだ)
「あとは、何にでも一生懸命で、時々自虐に走るところ」
廉はそこで、省吾に鼻をつままれた。
「もう、自分を責めるのはよせ。僕はクビだ、なんて言うなよ」
「はい」
真っ直ぐな目をして、廉は省吾を見た。
甲斐さんは、本当に部下思いの素晴らしい上司なんだ。
そんな人の期待に応えられるよう、いつまでも下を向いてちゃいけない。
「いい目だ。月曜日から、頑張れるな」
「はい!」
「じゃあ、寝るか。寝室はこっちだ」
「はい?」
いざなわれるままついて行くと、そこにはキングサイズのベッドが。
「ま、まさか。甲斐さん、コレに一緒に……」
「広いから、二人でも楽勝だぞ」
どッ、どどどどうしよう!
(確かに甲斐さんのことは好きだけど! でも、心の準備が!)
焦る廉をよそに、省吾はベッドに上がった。
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