お母さんの実家

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お母さんの実家

 私は東京都小金井市の高校二年生。名前は香月紗織です。家族はお父さんの佳紀、お母さんのゆきの、弟の智明の四人で暮らしています。お父さんは山梨県の出身で地元の大学生の時に仲間で静岡県牧之原市の海に遊びに行った際、喫茶店でアルバイトをしていたお母さんに会いました。お父さんが言うには、可愛い子だなあ、との事でしたが、その時はそのままでした。月日が流れてお父さんもお母さんも東京で就職してアパート暮らしをしている時に、お父さんが偶然駅前でお母さんを見つけて声を掛けたそうです。お母さんは変な人だなあと思ったそうですが、学生の頃喫茶店でアルバイトしていたよね、とても可愛い子だったと懐かしがって、お茶に誘った様です。お母さんは全く覚えてはいませんでしたが、同じ市内に暮らしていたので度々デートをしてから今に至りました。家は一戸建てを購入しローンの支払い真っ只中です。私が小さい頃に家族で神奈川の海に遊びに行っていました。中学、高校になってからは、お母さんの実家がある海の事も話を聞いていました。仕事や学校の都合で日帰りは可能でしたが泊まりは無理があり、まだお母さんの実家には行った事がありません。そんな事でお母さんは自分の実家には私を生かせたい様でした。私も機会があれば是非行ってみたいと思っていました。    そんなある日の事、私が夏休みになった八月上旬の事です。お母さんが突然静岡に行くといい、私にも行こうと言う事になり急遽行く事になりました。お母さんは仕事の都合で日帰りでしたが、私は三泊する予定でした。お母さんが言うには折角だから泊まって来なさいとの事。実家には従兄弟が三人いて、二人は働いていて、後一人は私と同じ高校二年生の様です。家には実家の人達の写真はありませんし会った事も無いので、どんな人か分かりません。期待反面不安も正直有りました。早速お母さんは実家に電話を入れて私も行き泊まる事を伝えました。電車で行くから近くの駅に迎えに来て欲しいと言っていました。私は準備でお買い物です。向こうに行ったら海に行きたいから水着は真っ白なビキニにしよう。下着は内緒でワンピ、シャツにスカート。トランプを持っていこう、きっと無いと思うしね。    八月十日の朝、今日は静岡に行く日です。一旦、東京に行き新幹線で行く予定です。JRの最寄り駅は金谷と言っていました。私はごちゃごちゃした所は好きでは無いので東京は敬遠したいですね。中学以来の新幹線は座る事が出来て良かったです。静岡県に入ると富士山が大きく見えて雄大です。富士川あたりでしょうか、今度は後に富士山を見ます。程なく静岡市です。今度はJR乗換です。三十分位でしょうか大井川を渡り金谷駅に着きました。東海道五十三次の金谷ですね。歴史で習っています。お迎えがある様です。従兄弟で長男の高雄さんです。高雄さんは東京に出張の際にいつも来てくれていますので知っています。もう三十歳になりお子さんも小学校二年生と幼稚園の女の子二人がいる様です。私は未だ会った事は有りません。お母さんは懐かしそうにしています。改札口の所で待っていると直ぐに高雄さんが来ました。半年以来になります。挨拶そこそこに車に乗って牧之原市に向かいます。車は山を登り台地に出ました。見晴らしが良い所に来ました。下に金谷の街が、それに富士山が綺麗に見えます。今日は快晴ですし富士山も雲が無く良く見えますので嬉しいです。お母さんは高雄さんとお喋りです。半年以来ですから話が尽きない様です。二人ともお話し好きですね。途中お昼ご飯を食べてから三十分位でお母さんの実家に着きました。長かったですね。    私はお母さんの実家は初めてです。家の横の駐車場に車を止めて高雄さんの後をお母さんと私が進むと、リビングにいる人が目に入りました。窓を開けていましたので従兄弟の蓮さんと直ぐに分かりました。意外ですが蓮さんはイケメンです。私好みかも知れません。蓮さんも初めて会いますが名前だけは知っています。お母さんから良く聞かされていますからね。こんにちはーって声がしましたので私も挨拶をして中に入りました。家には叔父さん叔母さんがいて迎えてくれました。勿論初めて会います。  
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