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ピロロロ
彼の携帯に着信音。通知画面にうつる、明らかに女性の名前。その画面の下の方に表示された“×”を、彼は押す。
「え、いいの?」
「おう、今はお前といる時間だし」
いつでも彼はこうやって、ずるい。だからといって自惚れるわけじゃない。前に私が電話をかける立場だった時があったからだ。もちろん切られた。誰かを特別扱いするわけじゃない、誰にでも特別を見せる彼が少しだけ妬ましい。
「ほら、始まるぞ」
東京から、光が消えるまで、あと30秒。
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