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テレビに表示されたカウントダウンがまるで、世界の終わりを示しているかのようだ。
合図はなにもない。闇はカウントダウンのゼロとともにやってきた。
綺麗な、星だけが、俺と彼を包んだ。
「うお、思ってたよりすげえ」
綺麗だ。満天の星空を東京で、大切な彼と、俺で、ここにいて。本当に綺麗だ。
本当に、嫌いだ。私は、俺が、きらいだ。
「…決まった」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、なんでもねーよ」
笑ってみせた。演技なんて必要ないくらい暗いのに、下手くそながらに精一杯笑った。
お星様に願いを叶えてもらおうなんて、そんな非科学的なことは思っていないけど。せめて、神様くらい信じさせて貰おう。
ねえ、神様、お願いします。
『来世は、心だけじゃなく、ぜんぶ女の子にして、彼ともう一度。』
人生で一番長い1分間が、私の身体をすり抜けた。
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