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「じゃあ、これは、何なんだ?」
二人して顔を見合わせた。
「鍵は、鍵はないのかね」
「ある訳ないっすよ。ナンバーを揃えるやつならまだしも、南京錠だし」
「叩き割ってみるか…」
「犯罪!人のもの壊しちゃダメっ!」
「だって気になるじゃない」
「……そりゃあ、ねぇ……」
会話が途切れる。真っ黒い空に、時折ちらちらと星が煌めく。全てを知っている彼らは、僕らを笑うようにいつまでも光をちらちらさせていた。
「わしゃ決めたぞ!持ち主が現れるまでここにいる」
おじさんは突然叫ぶと、どっかと地面にあぐらをかいた。鼻息荒く宣言した彼は、ちらとこちらを見やる。
「わしは、中身が知りたい。この先気になり続けるくらいなら、いつまででも待ってやる」
「意地でも見るつもりですね」
「ああ、そうだ。お前はどうする」
急な問いかけに少し戸惑う。
確かに、中身は気になる。
僕は──────
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