ブラック・ボックス

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おじさんはひとつ舌打ちすると、今度は猫に話し掛け始めた。 「おい、猫。分かるように話せ」 ……わがまま!なんて自分勝手なっ! 今度こそ動物愛護団体に訴えるぞ! 猫もイラついたのかきっとおじさんを睨みつけている。大きな瞳がギラりと光る。 「…ニャア」 「え?なんだって?」 「ニャニャオニャオ」 「おい、もうちょっとゆっくり」 まじか……おじさん。真面目に猫と会話しようとしてやがる。 「ニャーニャーオーニャオ!!」 「ふんふん」 「ニャニャニャニャゴニャニャミャミャニャニャオニャオ」 「ニャニャニャ?」 遂に猫になった。 「ウンニャ」 「ニャー」 「ニャア」 「ニャゴ」 「ニャゴ」 互いの健闘を讃え合うかのように、頷き合う二匹、いや一匹と一人。これは期待出来そうだ。僕はわくわくしながらおじさんに声を掛ける。
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