44人が本棚に入れています
本棚に追加
episode 4
午後には予定通り龍也のプレゼントを買いに出かけた。
予想通り理人の持つ時計はブランド品で、店に並ぶ商品の金額を見て思わず顔が引きつった。
「金額は気にしないで。龍也に似合うものが贈りたいから」
そう言って店員と相談しながら龍也の細い腕にも似合う時計を選んでくれた。
しばらく休日の買い物を楽しんだ後は、予約していたホテルに向かった。
広々とした空間に洗練されたデザインのインテリア。
自分がこんなところに来るなんて、考えたこともなかった。
「予約していた雨宮です」
スタッフにそう告げると、店の奥に案内される。
通されたそこは一面の窓に夜景の広がる個室だった。
アペリティフにシャンパーニュを頼み、理人にコース料理の内容を聞いているとすぐに前菜が運ばれてきた。
色鮮やかなお皿は見ているだけでも楽しくなる。
サラダ、スープ、パン、魚料理・・・次々に料理が供される。
どの料理も繊細な盛り付けがされていて、見た目も味も素晴らしかった。
ワインを飲みながら、ゆっくりと時間をかけて食事を堪能した。
「理人さん。プレゼントだけじゃなくこんなに素敵な食事まで、本当に嬉しいです。ありがとうございます」
今まで生きてきた中で最高の誕生日を過ごしている。
そう思い満面の笑みで理人に伝えた。
「どういたしまして。喜んでもらえて俺も嬉しいよ」
理人はそう言うと柔らかく微笑んで見つめ返してくれる。
「龍也」
ぼんやり夜景を眺めていると、真剣な理人の声がかかる。
見つめた理人の顔は緊張しているようにも見えた。
「改めて、誕生日おめでとう」
何度目かの祝いの言葉を紡ぐ。
「来年も、その先も、ずっと一緒に過ごしていきたい」
そういうと小さな小箱を取り出し、龍也の方に差し出して開く。
中にはダイヤの付いた指輪が収められていた。
びっくりして目を見開き、理人を見つめる。
「龍也。俺と、結婚してほしい」
信じられないほど嬉しくて、何も言葉が出てこなかった。
つーっと頬を雫が伝う。
こんなに幸せなことがあっていいのだろうか。
大好きな人から、こんな素敵なシチュエーションでプロポーズを受けているなんて。
「・・・はいっ!・・・よろしくお願いします」
泣きながら笑顔になってそう言うと、理人が立ち上がってこちらに回る。
龍也の前で膝をつき薬指に指輪をはめてくれた。
サイズはぴったりだった。
そのまま手を掬い甲に口づけを落とすと、真剣な瞳で見つめられる。
「一生、幸せにする」
堪えきれず理人に抱き着いた。
何度もキスをして、顔を離すと見つめあって笑った。
*次の更新は性表現ありなので苦手な方はスルーしてください*
最初のコメントを投稿しよう!