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どこの誰だか全くわからない女性が、私の目の前で寝ている。
なぜ私の部屋に入ってきて寝ているのだろうか。
彼女は突然はっきりとした寝言をすらすら言い始めた。
「私のこと、変な女なんて思わないで。あなたは私のことを知らないかもしれないけど、私はかなり前からあなたのことを知っているの」彼女は寝返りをうった。
「いつだったか、昼でもなく夜でもなく、でも夕方ほどの黄昏はなかった。そんな時にあなたを見つけたの。あなたは駅ビルで買い物をしていたわ。きっとデートに行くための服を選んでいたのね」私は寝言に対して、どうしてわかるの?と話しかけようとしたが止めた。
「だって、次の日あなたはデートでその服を着ていた。一緒に歩いていた女の子はとても可愛くて、あなたからデートに誘ったんだと思ったの。図星でしょ。でもあの服は失敗ね。彼女は落ち着いた服装だったのにあなたは少し派手だったでしょ。変なカップルに見えてたわよ。やっぱりあなたにはその子より私の方がお似合いだと思うの。だから、あなたのことをいろいろ調べた。勘違いしないでね。全部あなたのためなの。あなたの幸せのため」彼女の寝顔は微かに微笑んでいた。
「あなたのマンションの合鍵を作って、キッチンでこっそり料理も作り置きして、何一つ邪魔はしていない。唯一邪魔をしたのは、あの厄介な女の子に嫌がらせして、あなたと二度と会えないようにしたことくらいね。あなたの幸せのために。これからは私と一緒にもっと幸せになれるわよ」彼女はいつの間にか目を見開いていて、寝言ではなくはっきりと私に向かって言った。
17時を知らせる防災無線の音楽が鳴り響き、私はそのせいで目が覚めた。その夢は事実に忠実だった。
隣でその彼女は死んでいる。
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