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明は出来る限りのスピードで仕事を終わらせ、久々に過ごせる怜との時間に心逸り、半同棲しているマンションへと足を急がせた。
「ただい、ま?」
明が鍵をあけて入ると部屋は暗かった。
「レイ、まだ帰ってきてないのか……」
――働きだして5年目
5月、怜の仕事を把握している忙しかった時期はもう過ぎている。
とりあえず着替えもそこそこに、明は久しぶりの夕飯を作り出した。
* * *
明が作り終えた頃、玄関のドアが開く音がした。
「レイ!お前、家の中見えてんのかよ! 飯丁度出来た頃帰って来やがって!」
明は玄関へ迎えに走った。
「……ただいま」
明の冗談に怜は笑顔無く、靴を脱いでいた。
「遅かったな。残業か?この時期に珍しいな」
「いや、残業じゃ……」
怜の神妙な顔に、明もつられて真顔になった。
「……レイどうしたんだ? 何かあったのか?」
明は怜の鞄と上着を持ってやる。
怜は家に入りようやく気が落ち着いたようにネクタイに指を引っかけ緩め、深呼吸した。
「あぁ。食いながら、話す」
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