ラピスラズリの山

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ラピスラズリの山

 神に祈りを捧げたことなどないと彼女は言った。それは、そうだろう。彼女は他力本願の対局に位置するような人だし、誰かの助けを借りるくらいなら助けようとした人を平手で打ち倒した方がマシと言いかねない。  僕はというと、願いを叶えてくれるなら何でも良いといった他力本願を体で表す人間だ。祈って実現できるなら神様だろうが仏様だろうが悪魔だろうが閻魔様であろうが祈りを捧げることを惜しまないと思う。 「あなたにはプライドというものがないんだわ。骨のないイカみたいな生き物ね」 「リサ、イカには元々骨はないし、それは柔軟性に溢れてるっていう褒め言葉として受け取っておくよ」  屁理屈だとか、鈍感だとか騒いでいる彼女を放って、僕は降り立ったばかりの惑星の探索を続けた。
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