0人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくするとまた拾った榛名さんのスマートフォンの呼び出し音が鳴って、今度は先程とは違う女性の名前がスマートフォンの画面に表示されたけれど、かまわず僕はスマートフォンの応答ボタンをタップして電話に出た。
「もしもし!
先ほど電話した榛名ですけれど、今私は駅の改札を出た所にいるのですが、瀬崎さんはどちらにいらっしゃいますか?」
駅の改札を出たところに僕はいるので、榛名さんの話を不思議に思いながら、
「僕は今、駅の改札を出た待合室の長椅子に座っています。
榛名さんは、今どちらにいらっしゃいますか?」
と率直に聞いた。
すると榛名さんは不審に思ったのか、
「あれ、誰もいないようです。」
と言葉が返ってきた。
僕はどうしたらいいものかと悩んでいると榛名さんから、
「今、どちらの駅にいらっしゃるのですか?」
と聞かれた。
僕は何故そんな質問をするのだろうかと不思議に思いながら、改札上にある看板を見て、
「『静波駅』ですけど…」
と正直に答えた。
すると榛名さんから、
「『静波駅』って、どこの駅ですか?」
という質問が返ってきた。
僕はいったいどういうことなのだろうかと、少し頭が混乱しながら、
「間違いなく、榛名さんが電車を降りた駅だと思いますけれど…」
と返事をすると榛名さんが、
「私が降りた駅は、『静浜駅』です。
もしかして、改札を出た時刻が、午前0時ぴったりではありませんでしたか?」
という質問が返ってきた。
僕が自分のスマートフォンの時刻を確認すると、午前0時30分を過ぎていた。
「はっきりとはわかりませんが改札を出たのは、その時刻かもしれません。」
と僕は答えた。
最初のコメントを投稿しよう!