存在しない駅

4/9
前へ
/9ページ
次へ
「実は『静浜駅』は、以前から行方不明者が出ているのです。  はっきりした証拠はないのですが、午前0時ぴったりに『静浜駅』の改札を出ると、その人は別の世界の駅に出てしまうらしいという噂があるのです。」 榛名さんの言葉に、僕は急に不安と孤独を感じた。 「どうすれば、元の世界に戻れるのですか?」 僕が藁にもすがるような思いで質問すると、 「私にもわかりません。  すぐに警察に相談してみます。  いったん電話切らせていただきます。」 と榛名さんが僕を心配して行動を起こしてくれると話してくれた。 僕も自分のスマートフォンから警察に電話してみたけれど、不思議なことに電話は繋がらなかった。 さらに僕は、自分の自宅にも電話してみると、やはり電話は繋がらなかった。 しばらくすると榛名さんから電話が入った。 「瀬崎さん、私警察に電話して今警察の方に来ていただいています。」 榛名さんの言葉に僕は、 「実はこちらでも警察に電話してみましたが、電話が繋がらないのです。」 とこちらの状況を伝えると、 「そうですか…  多分私から自分のスマホに電話した場合だけ、電話が繋がるのかもしれません。」 と話してくれた。 「瀬崎さん、こちらでは警察の方が専門家の方に相談してくれているようです。  もう少しお待ちください。」 榛名さんが僕を心配してくれている様子が分かって、僕は少し安心した。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加