昼の君、夜の君、黄昏の君

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夕暮れ前、私は近所の公園に来ていた。 ぼーっと、ベンチに腰掛けて、道ゆく人を見ている。 そして、二人のことを思った。 「昼の君」「夜の君」 彼らは私からそう呼ばれるのを嫌がるので、しないけれど、私はこの名が非常に気に入っている。そう名付けた人に、ノーベル文学賞を贈りたいぐらい的を得ているし、彼らの高貴さがシンプルに表されている。 そんな高貴なあだ名がつくイケメン二人から好意を持たれた、ニヤニヤしてしまうこともあるが、どうしよー。と頭を抱えることが多くなりすぎた。 幸せな憂鬱は私を柔らかく束縛する。 「昼と夜に挟まれてるから、夕子! なんか運命的だね」 と言ったポエマーな友達を思い出して、ぞっとした。 なんだ、二人に会うのが嫌みたいじゃん。 と自嘲気味に笑ってしまうが、けしてそんなことはない。 朝日と星也は元々、知り合いだったから、私たちはいつの間にかもつれるように仲良くなってしまった。 二人とは一緒に色んなところに行った。キャンプにも行ったし、海にも行った。 クラブで女の子をどこまでナンパできるかチャレンジしたこともある。 キャンプに行った時は山道で迷うし、海に行った時は、食中毒になり散々な目にあったし、クラブでは喧嘩沙汰になったこともあるから、いい思い出?とは思うけど。 終わりのない白夜にいるように、昼と夜が混ざりグラデーションがかかった幻想的な日常がそこにはあった。 しかも、自分になんの憂いもない二人はぐいぐい来てるし、周りは押せや押せやの大合唱。 刺激的な毎日だけど、酔っ払い、ぐるぐる回るような毎日にちょっと疲れた。 何より、そろそろ目標も達成するから、決着をつけたい。 今日はそのために、この公園に来た。 もし、今日。会いたい彼がここに来たら、本当の気持ちを言う。 現れなかったら、言わない。 未だに結論を天任せにする私を、どこが決着なのか!とバイト先の人には責められるかもしれない。 まぁ、それはそれでありか。 夕焼けが濃くなるのを見守りながら、私はそう思った。
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