線香花火

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「最後はやっぱ線香花火だよね」 そう言い僕に線香花火を手渡す手はなんて小さいのだろうか。この手を守りたい、そう当時から思っていたのかもしれない。静かにオレンジ色の火花が僕たちの間を何分か照らしていた。両方の日が消えて、僕は咲良に大山先生の日記を渡した。 「なに?これ」 「大山先生の」 少しの間がとても長い時間のように思えてならない。 「読んで良い?」 僕は頷いた。パラパラとめくる咲良の表情は変わらない。一通り読み終えた咲良は一言「大山先生って生きるの下手だね」と言った。咲良は花火の入っている袋から線香花火を取り出してオレンジ色の火花をもう一度照らした。 「ねぇ、宏ちゃん。私たちってどこから間違ってたのかな?お兄ちゃんを殺しちゃったこと?私たちが出会ったこと?この世界に生まれたこと?」 僕は日記を咲良の手から取り「全部」そう答えて、チャッカマンで日記に火をつけた。 咲良は燃やされる日記をただじっと、見つめていた。
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