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「にゃー」
猫がペンキ少年、ソラの隣で鳴く。
ソラは猫に対してなのか独り言なのか分からないが、分かってるよ、と小さく呟いた。
「君は、なぜ悲しそうな顔をしているの?」
ソラは尋ねる。
「……別に悲しそうなんかじゃねーよ」
俺は答える。
少しの沈黙の後
「……君は晴れの日と曇りの日と雨の日と雪の日、どれが一番好き?」
「え?」
彼は急に突拍子もない質問を投げかけてきた。
「うーん……」
唐突な質問にブランコを止めて考えてみる。
「……やっぱり……晴れ……かな……」
晴れ、今はそれが一番好きかもしれない。
「じゃあ、明日は晴れだね」
ソラはそう言って小さくブランコをこぎ出した。
キィとブランコが再び悲鳴を上げる。
彼の言葉を聞いて、俺の口から呆れた笑いが漏れた。
「天気予報見てないのかよ。明日は雨だぜ。明後日もその次も」
「なんて予報しようと勝手だけど、僕は晴れがいいから晴れにするんだ」
「なんだよ、それ」
ソラの随分と傲慢な主張に、今度は違う笑いがこみあげてくる。
無茶苦茶だ。隣に座っている少年が急に幼く見えてきた。
どうしたって明日は雨。
そんなことは分かりきってるのに……
でも、なんか……コイツになら話してもいいかって思えてきた。
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