運命の恋の始まり

1/6
前へ
/6ページ
次へ

運命の恋の始まり

 日曜の昼下がりの公園。暑くもなく寒くもなく絶好のデート日和(びより)だ。  漫画『小さな恋のものがたり』のチッチとサリーのような身長差の大きいカップルが、仲睦まじく腕を組んで歩いている。  だがこのカップルの二十メートルほど前方で、缶ジュースを飲みながら花壇の横を歩いている男は一人きり。  年齢=彼女いない歴のこの男は、ジュースを飲み終えるとさり気ない仕草で空き缶を花壇にポイ捨てした。  後ろめたさや躊躇(ためら)いやぎこちなさという物が一切感じられない、流れるように自然なフォームだった。  まるで毎日欠かさず行なっているルーティーンワークのような。  実は彼、ポイ捨ての常習犯だったから、ごくごく自然な動作でこのようにポイ捨てができてしまうのだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加