ベッケンバウアーの憂鬱

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 これにチトセは再び了解と返信。するとまたもや新着。 『いま郵便局の近くよ』  さらにその後も 『いま公園の近くよ』  と次々と迫り来る報告に、チトセはスマホを投げ飛ばし (いちいち報告いらねぇし! むしろ怖いんだけどマジで、なにユウコ……)  その後も新着が来るので、とうとう無視を決めることに。  そして部屋の準備を再開。しかし途中から不意に目に留まった漫画を手に (これ懐かしいな……そういえばこの作者の新作出たんだっけか。今度買ってみっかなぁ)  と、机の飲み物をごくり。こうして、寛ぎ始めていたその時だった。 ーーピンポーン 「あっやべ……きたか」  と、慌てて立ち上がると、僅かに残った飲み物が服に溢れ 「うっわ最悪……マジかよ。あぁティッシュティッシュ」  と、ティッシュでトントンと叩き玄関へ。 ーーガチャリ  扉を開けると、マホとユウコ。手には買い物袋と借りてきたDVDの手提げ。  マホは片手を上げて 「来たよーっ! チトセいるーっ?!」 「いるよここに、うっせえな。近所迷惑だからやめて」 「チトセごめんね。良いところだったかしら?」  と、顔を赤らめるユウコ。 「は……何が?」 「いやだって……使用済みティッシュ持って、服も濡れてるし。これは相当気持ちよくなってる最中だったのかなって……」  チトセは毛を逆立てて
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