ベッケンバウアーの憂鬱

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 今日は親はいないので、どうというものでもないが、チトセにとってマホが自宅で消えるということは、不安要素満載だった。 「おーいマホー? どこいったー?」  と呼びかけが部屋に響く。リビング、キッチン、親の寝室などを順番に見ていくも姿は見当たらず。 「っかしいな……あいつどこ行ったんだし、マジで」  と、その時耳に入るのは、微かに水の流れる音。チトセは眉をひそめ 「は……おいもしかして……!」  慌ててバスルームに直行し ーーバタン!  とドアを開くと、そこにはシャワーを浴びるマホが。  マホはビクンと振り向き 「わあっ、ビックリ! えぇ、チトセも浴びる?」 「それこっちのセリフだよ! 別に浴びにきたわけじゃねえからっ!  え、てかさ……なんでシャワー浴びてんの?」 「だって、綺麗にしておかないといけないって、言われたからぁ」 「は……? 誰に? てか自宅で綺麗にしてこいよ、そんだったら。むしろなに、そんな汚れてるわけ?」 「ちょっと、汚れてたよここら辺とか」  と天井を指差す。 「ウチの風呂場の話してんじゃないからっ!」 「あははっそかぁ! あっユウコにねぇ、綺麗に洗っておかないと、ダメだよって言われたからさぁ。チトセ潔癖だからってぇ」  チトセはその場にドサリと崩れ落ち、顔を上に向け 「お前かよユウコーッ!!」 「あははっウケるチトセ!」 「ウケねぇって、しかもそれやめて!
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