ベッケンバウアーの憂鬱

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「マホそれねぇ、借りたっけ?」 「ごめん。聞いたウチがバカだった」  するとマホは買い物袋を逆さにして、バラバラと中身を出すと 「ほら見てぇっ! お菓子とかけっこー買ったんだぁ、チトセのすきなやつもあるよ!」 「いや、その出し方やめろよ。めっちゃ散らかってんじゃん……え、なにこれ」  とその中の一つを手に取る。パッケージには、練ると色が変わるという絵が載っている。 「あっそれだめぇ! マホのだから!」  と、素早く奪う。 「えっ、それ買ってるやつ初めて見たわ。マジで食うのそれ?」 「チトセ欲しいぃ?」 「いらん」 「えっほんとは?」 「いらん」 「あははっウケるっ!」 「なんでだよ。しかもお前それもでしょ、口の中でパチパチするとか……」  と、床に転がる菓子を指差す。 「それはチトセのだよ?」 「いらねーガチで。てかさ、お前の流れだろどう考えても。なんで、これだけウチなの?」 「えぇ、チトセそんなこっちが良いなら、半分の半分なら上げてもいいけどぉー」  と、悩み顔で。チトセは手を前で横に振り 「いやいや、ちげぇよ。別に変色も刺激も欲しくねぇから。なんだよ半分の半分て……」 「あっでもねぇ、文句多いチトセだからなぁこれも買ってきてるの、はいっ!」  と手渡したのは、GABAチョコレート。チトセは受け取りながらため息を一つ。
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